FC2ブログ

 

「ニタイ ピリカ」はBL漫画・小説(たまに非BL)の感想を好きなように書いたブログです。ネタバレしてますのでご注意ください…
 

 

 
雪花草子 (新潮文庫)雪花草子 (新潮文庫)
(2012/07/28)
長野 まゆみ

商品詳細を見る

単行本の出版は1994年。18年経って初の文庫化だそうです。
「白薇童子」 「鬼茨」 「蛍火夜話」の3作が収録されています。

しばらく振りに読んで、昔「白薇童子」が一番好きだった理由が唯一読後感が良かったから、だと思い出しました。残りの二作品は、今読んでもちょっと重いけど。
でも改めて読んで、今の私は「鬼茨」が一番好きだと思いました。
時間を経て何か私ん中で、変わったのかも。


流暢な文体で、特に衣装の描写が素晴らしいです。よく分からなくても、とても綺麗なんだろうなと容易に想像できます。
繰り広げられる耽美な世界は、好き嫌いが分かれるかもしれません。
ここに書いているってことは、私は好きです!

以下にたたんでいます。 

more

「白薇童子」
母を夜叉・白薇童子にさらわれて、夜叉退治に住処のある深山にやってきた瑠璃若。
女狐のもみじを騙し、また騙されてようやく辿りつくと、白薇童子は予想外に美しい容姿の青年でした。
稚児として預けられた僧院で凌辱される日々の中、出会った優雅で美しい貴公子。
一夜を共にしてやがて、白薇童子は身籠り男児を生む。
それが実は瑠璃若でした。瑠璃若は貴公子の家に拾われて、子のない夫婦の息子として美しく成長していました。

白薇童子を中心に瑠璃若の父と瑠璃若がいて、瑠璃若の継母は何だかないがしろな感じ…。
結局は、男同士が話を進めていたというか…。
“母”でもある白薇童子を抱く瑠璃若は、人ではなくなります。
収まるところで収まった、これはハピエンなんだと思います。


「鬼茨」
猿楽舞の家に生まれた小凛(こりん)と、武家の子息の朱央(すおう)。共に13才の美しい少年ですが、特に小凛の容貌の描写が、一体どんな美少年?と思わせるほど。
朱央の家の庭で弓矢をしていた小凛の打った矢が、黒猫に当たってしまい死んでしまう。
それは将軍家の息子・蜜法師の愛猫でした。

ここから小凛と朱央は、蜜法師の機嫌一つで簡単に命も失うほどの立場に陥ってしまう。
特に小凛への無体な仕打ちが酷くて、蜜法師の嗜虐的な性質が分かります。
松本侑子さんの解説を読んで、腑に落ちました。
蜜法師は美しい小凛を好きだったんじゃないか、って。
なら虐めでなく、いや虐めだろうけど、「好きだ」という表現方法を間違えたんだなって思うと、悪役だと片付けてしまうのも惜しいかも。にしても、嫌なヤツには変わりませんが…。

このお話はラストが素晴らしいです。目の前に浮かんできます。
池に沈んでいく朱央に、小凛が水の中で口づけをする。青い水は朱央の体も血も包むように消して、やがて月しか映さない。
朱央を見送って、失うもののない小凛はどうするのか。
蜜法師に復讐するのか、これからも嬲られて生きていくのか…。
読む方それぞれの考えがあると思います。
池に沈んだはずの白銅の鈴の音が聴こえて、私は朱央のかたきを討つとしか考えられなくなりました。


「蛍火夜話」
将軍家に生まれた世継ぎは、双子の男児でした。
兄は嫡子として育てられ、弟は殺されることになりますが、情け心を出した侍女によって川に流されます。
姫として育てられていた弟と兄は、十三年後に偶然出会ってしまう。

少年同士の輪〇は衝撃なんですが、読めてしまいます。
露骨な描写じゃないせいもあるけど、何より長野さんの筆力に引き込まれてしまう。
特に三作目は、人間の罪深さや欲深さを感じます。何が悪いのか誰のせいなのか、これが運命だと言ってしまっていいのか。
キャパの狭い私はもう分からないです…。

可哀想な兄は、この現実に耐えられなかったんだよね…。
兄弟ものが好きなんて言ってる自分は甘かったと思い知らされる、この近親相姦っぷり。

タブーとか不道徳とか頭で分かっていても、長野さんにかかるとこんなに美しいんだと
思わされる三作でした。
読むほどに色々考えてしまいそうです。

関連記事
スポンサーサイト



テーマ * 感想 ジャンル * 小説・文学

 

 

Comment

 

Secret?


 

 

 

 

*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2019 nitay pirka , all rights reserved.

立夏

Author:立夏
BL大好きで感想・思ったことなどを、好きなように書いてます。
好きな本ばかりなので、独りよがりなってる自覚はあります。

ほとんどネタバレしてますので、ご注意下さい…。

記事に拍手や拍手コメを、いつもありがとうございます。
拍手コメのお返事は、該当の記事に書かせていただいています。お時間ある時に見ていただけたら嬉しいです☆

10 | 2019/11 | 12
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

マンガ (414)
会川フゥ (3)
青井秋 (2)
朝田ねむい (2)
阿部あかね (2)
雨隠ギド (5)
ARUKU (3)
池玲文 (4)
イシノアヤ (3)
市川けい (7)
糸井のぞ (3)
伊東七つ生 (3)
井上佐藤 (3)
今市子 (6)
梅松町江 (3)
内田カヲル (3)
えすとえむ (10)
おげれつたなか (2)
カシオ (2)
梶ヶ谷ミチル (2)
かつらぎ (2)
雁須磨子 (2)
神楽坂はん子 (3)
かわかみじゅんこ (2)
木下けい子 (4)
草間さかえ (6)
九条AOI (2)
黒乃奈々絵 (2)
腰乃 (1)
恋煩シビト (1)
寿たらこ (2)
桜城やや (2)
里つばめ (2)
清水玲子 (2)
蛇龍どくろ (2)
SHOOWA (2)
鈴木ツタ (2)
たうみまゆ (3)
宝井理人 (4)
田倉トヲル (2)
千葉リョウコ (2)
トウテムポール (2)
トジツキハジメ (13)
永井三郎 (3)
中村明日美子 (5)
七海 (3)
ナナメグリ (2)
西炯子 (2)
西田東 (2)
羽生山へび子 (4)
のばらあいこ (2)
ハヤカワノジコ (2)
はらだ (2)
日高ショーコ (3)
秀良子 (6)
ひなこ (2)
歩田川和果 (2)
真柄うしろ (3)
斑目ヒロ (5)
松尾マアタ (2)
三崎汐 (3)
三島一彦 (4)
三田織 (2)
ミナヅキアキラ (2)
モチメ子 (2)
桃山なおこ (2)
ヤマシタトモコ (7)
山田ユギ (1)
山中ヒコ (2)
山本小鉄子 (3)
ヤマヲミ (4)
ゆくえ萌葱 (2)
吉池マスコ (6)
吉田ゆうこ (3)
よしながふみ (6)
ヨネダコウ (1)
ルネッサンス吉田 (1)
RENA (1)
~あ行~ (22)
~か行~ (21)
~さ行~ (15)
~た行~ (15)
~な行~ (10)
~は行~ (8)
~ま行~ (16)
~や行~ (9)
~わ行~ (2)
まとめて。【コミック】 (55)
小説 (83)
英田サキ (1)
いおかいつき (1)
一穂ミチ (2)
いつき朔夜 (2)
岩本薫 (1)
海野幸 (3)
榎田尤利 (2)
江森 備 (1)
尾上与一 (1)
華藤えれな (3)
可南さらさ (3)
かわい有美子 (7)
綺月陣 (3)
久我有加 (2)
木原音瀬 (5)
小林典雅 (4)
西条公威 (3)
早乙女彩乃 (1)
佐田三季 (1)
沙野風結子 (1)
愁堂れな (1)
ジョシュ・ラニヨン (1)
砂原糖子 (2)
千地イチ (2)
谷崎泉 (3)
月村奎 (1)
中原一也 (2)
凪良ゆう (1)
夏目怜央 (1)
西江彩夏 (1)
鳩村衣杏 (2)
ひのもとうみ (2)
松田美優 (1)
松雪奈々 (5)
水原とほる (2)
夜光花 (6)
まとめて。【小説】 (3)
雑誌 (20)
アンソロ (24)
BLCD (3)
私の好きな本のこと (41)
あさのあつこ (2)
池辺葵 (8)
遠藤淑子 (1)
小島てるみ (1)
川上弘美 (1)
京極夏彦 (1)
五條瑛 (2)
杉本苑子 (1)
鈴木志保 (2)
高村薫 (2)
塚本邦雄 (4)
長野まゆみ (3)
橋本紡 (1)
鳩山郁子 (3)
福永武彦 (1)
吉野朔実 (1)
純文学 (1)
詩 (2)
マンガ (3)
【〇〇もの、いろいろ】 (8)
雑記 (138)
拍手のお返事 (24)
購入予定メモ (19)
未分類 (8)
自作BL (31)
~自作BL はじめに~ (1)
投稿にまつわる独り言 (25)
『グリーンスリーヴズ』 (5)

このブログをリンクに追加する

この人とブロともになる