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「ニタイ ピリカ」はBL漫画・小説(たまに非BL)の感想を好きなように書いたブログです。ネタバレしてますのでご注意ください…
 

 

 
造花の解体 (Holly NOVELS)造花の解体 (Holly NOVELS)
(2011/09/17)
西条 公威

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『造花の解体』に収録されている、9つの短編につけられたタイトルです。
本当なら『造花の解体』の記事ん中で書けばいいんですが、これだけすごく長くなったので、先に記事にしてしました。また別に『造花の解体』の感想は書こうと思っています。
書き下ろしの『愛されたい。ただ、愛されたい。』も、もう、もうね…(涙)。これも後で書きたい。

そんで『gearrsceal』ですが。あの、eの上に ’←これが付くんですが、うまく出来なくて付けていません。すみません。フランス語なのかな…。

短編というか掌編? ほんとに短いです。
なのに、すごーくずしりときて、『空港バス』では目から汗でちゃったよ…。良いもの読んだなぁって、しみじみ思った。

9つの世界は設定も登場人物も全く異なりますが、目の前にその景色が浮かんできて。
ここんとこ小説から逃げてた私がリハビリとして読むには、あまりに濃く揺さぶられた短編集でした。


文体、それだけでなく何だろう、雰囲気がすごく私好みです。
多くを語らず、大事なことだけが綴ってあって、そっけなさすぎないし押しつけられてる感じもなくて。
読む側はそれで十分に主人公達の気持ちが伝わる。
掌編書く上でのテクニックかもしれないけど、それ以前に西条さんの才能なんだと思いました。

あと、硬質って言うのかな? BLに限らず好きな小説は、そんなひんやりとしている感じなんです。淡々として。
……あー、ほんっとに語彙ないわー、数え切れないくらいがっかりしてきたけど、今ほど自分に愛想尽かしたことないな。素晴らしさを伝えたいのに、自分が未熟過ぎる。
そもそも私なんかが、偉そうに語っちゃっていいのか…?
自虐的になってきたけど、でも書いちゃうよ。

もっと早くに読んでればよかったな…。


支離滅裂ですが(汗)、以下にほんとに長々続いています、よろしかったらどうぞ…。
思い切りネタバレしています。

『10DANCE 1』 『2冊まとめて。』
に拍手とコメントをありがとうございます!

 

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「天頂にプレアデス」
小学生が年上の従兄弟に初めて星座盤を貰って、星を見ることの楽しみを知る。それには従兄弟への憧れも混ざって、来年の夏休みにまた会えるのを楽しみにしていました。
けれども当の従兄弟はすっかり忘れていました。名前すらも。子
供ならではの残酷な、でもよくあることだと思う。ラストのばっさり感が何とも言えません。


「傘の花」
大雨の中傘が無くて濡れていた主人公に、傘を差しだしたのは、選択授業が一緒の名前の知らない生徒。
しとしとふる雨の中、男同士の相合い傘は恥ずかしく嬉しくて気まずい。名前の知らない同士がこれをきっかけに言葉を交わして、友人になるのが普通かもしれないけど。
二人の短いやりとりは、そうじゃなくて恋が始まりそうな感じのあたたかい余韻がありました。


「POWDER BLUE」
好きな子が近くにいると、高広の周りには霧が生まれる。青く煙った霧の中、高広は勝也と二人きりになった。まるで世界中に二人きりのような錯覚。そうだったらどんなにいいかと思って、すぐに高広は寂しくなる。偶然か意図したものか、勝也の指が高広の手に触れてきて、高広は願う。握ってほしい、そして離してほしいと。
この相反する思いが同居するのがつらい…。
こんなに短いのに、片思いの寂しさがすごく詰まってる話でした。


「生まれない子供」
これは衝撃でした…。ドロドロしていない、いやドロドロしているのにとても冷たい印象。
ラストの描写が水の中だからかな…。透明なひんやりとした悲しい話でした。
ウエルニッケ脳症を患っている38才の父は、会話や出来事を30分後には忘れてしまう。
病気になる以前の記憶はあるので、妊娠中の妻は覚えているけど息子のことは覚えていない。16才の智弘は、毎日毎日帰宅しては「君は誰?」と問われ、「あなたの息子の智弘です」を反復している。

普通の父子を望んでも叶うわけなく、決して愛されない。だって息子だと認識されていないんです。
これだけでも苦しいのに、智弘は父に自分という傷を残す企てを思いつきます。
近親相姦もの好きな私ですが(言い切ったな)、このお話(父子相姦)はそんな好き嫌いのレベルじゃない気がした…。

結局自分を刻めなかったけれど、望んでいた言葉を貰います。
「君は誰?」のやりとりは、文中にあるように「積めども積めども鬼に崩される石の塔」のように一生続く。無間地獄かもしれない。そうだとしても、智弘のように私も信じたいと思いました。


「ペットショップボーイズ」
これは可愛かったー。この順番で読んだからかな、余計にのどかで素朴な感じした。
猫好きな友人に付き合わされて、嫌々ペットショップに行く。はしゃぐ友人は子猫を抱かせてもらって、一層はしゃいで可愛いを連発。そんな友人の方が子猫よりも可愛い、と自覚する主人公。
中学生の淡い恋のような、和める話でした。


「サイクリングヤッホー」
高校生同士。あるアイドルの大ファンな友人・朗と立木の日常です。そのアイドルが人気が出て、でもスキャンダルで人気は急落、やがてAVデビューという一連の流れの中、朗の気持ちを立木は常に察しています。
「好き」は一言もないのに、立木が朗のことすごく好きなのが伝わってくる。
多分立木は気持ちを告げなくて、このまま友情(傍目には)が続くんじゃないかって思った。
そういう恋もあるんだろうなって思った。切ないけど満たされたような、不思議な読後感でした。

どうでもいい話だけど、このタイトル、昔CMであったよね…??


「空港バス」
リーマンものでした。これ読んで泣いちゃったんだ。優しいお話です。
空港行きのバスが廃止になったというところで始まります。利用者は時間の早く料金も安い、直通電車を使う。廃止になっても困らないけれど、それを何だか寂しいという船岡。
空港行きのバスが廃車にならず別路線で走ってるのを見て、我が事のように嬉しそうです。
船岡は前の部署での評判は良くなくて。それを船岡自身気づいていて、上司の名取にそう思われるのを恐れてもいる。

でも船岡を連れて、名取は出張に向かいます。適材適所というなら、まさに船岡は名取の元がそうだった。ちゃんと名取は分かっています。
不安な船岡が寂しく笑って「チーフの元にいさせてください」と言う。
それに対しての名取の返事と、船岡がやわらかく笑う場面がとても素敵です。幸せな気分になりました。


「トレインケプトアローリン」
どんな状況か、私の読解力ではちょっと分かりにくくて何回読んだことか。
多分、小さい事務所の経営者と従業員かな…。辞めてフリーになりますという日野と、経営者か責任者な白河。
日野は白河の背中を追ってきて、憧れて、恋になって。そういう相手のそばを離れる決断の様子が切ないです。
引き留められない、忘れられるのがつらい。覚えていてほしいという日野に、「傷でもつけてみろ」と白河が誘います。
すぐ隣にいるのに遠い、ってほんとに切ない。
それでもいつか、白河の側に近づく日を夢見ます。ほんっと切ない。



「さよならだ」
19才と家庭のある40男。不倫は嫌いだけど、何だか純粋な恋な気もしました。家庭も19才の子もどちらか一つを選べなくて、両方持つことで男は均衡を保っている。
読む側は40男のずるさと思っちゃうけど、でも、一つでさえ手に余るのに二つ持つこと選ぶなんて、ある意味覚悟が必要だよな…。
そういう男を好きになっちゃった、19才の揺れてる気持ちが切実な感じでした。



いやいや我ながらよく書いたね…。
でも不十分な気がしてなりません。それもこれも、至らない私の筆力不足。
元々短編集の形が好きにしても、この『gearrsceal』は本当に好きな作品集になりました。
まだ『造花の解体』読めてません、頭が切り替わらなくて…(汗)。「スペル・イー・エス」シリーズは、『造花の解体』以外は絶版なのかな…。ちょっと探したい。

西条さんは、作家活動をやめられてしまったらしいです。
この作品を読んで思うのは、もっと作品を生み出して頂きたかった。ただただ、残念です…。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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テーマ * 感想 ジャンル * 小説・文学

 

 

Comment

 

y 様

2/23 拍手コメ下さったy様へ

こんばんはー!いつもありがとうございます!
自分の言葉の無さに普段異常にがっかりしたよ…。独特だよね? すごく好きな世界なんだけどな~。
まだスペルESシリーズ読んでないけど、こっちも独特そう。楽しみ~☆
ちょっと感じたのは某先生よりも、突き放す感じはなかったって思った。
淡々としてるのが嫌いじゃない人なら、向いてる短編集だと思うんだ~。
ほんとに好きな短編集っす!(しつこい)
コメントありがとうございました!!

NAME:立夏 | 2013.02.28(木) 18:39 | URL | [Edit]

 

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立夏

Author:立夏
BL大好きで感想・思ったことなどを、好きなように書いてます。
好きな本ばかりなので、独りよがりなってる自覚はあります。

ほとんどネタバレしてますので、ご注意下さい…。

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